スペインのテニス指導はここがすごい!コントロールという言葉の違いに強さの秘密あり?バルセロナでチャレンジ中の寺島コーチにインタビュー!


7月からバルセロナでコーチ修行をしている寺島さん。現在は、7月、8月の2ヶ月の活躍が認められれば、その後1年間バルセロナでコーチを続けられるというトライアル期間です。2週間経ってどのような毎日を送って、どんな経験ができているのか?インタビューしました。ハードな毎日の中で、早くも色んな発見をしています。スペインという異国でのコーチ経験からどのような学びを得ているのでしょうか?

寺島コーチのチャレンジ内容はこちら

(ユニフォームをもらってサンチェス・カサルアカデミーの一員に!)

1日のレッスンスケジュールを教えてください

ジュニア選手は1日4時間テニス+2時間フィジカルトレーニングで、毎日6時間練習。私は、2時間レッスンを4コマ、8時〜12時と14時〜18時で1日8時間レッスンしています。選手のレベルは、満遍なく全てのレベルを教えていて、すでに試合に出て活躍している選手から、普段は週に1回のテニスだけど、この夏休みの間だけは毎日頑張りたいという子まで、色々なレベルの選手に指導しています。選手は世界中から集まってきていて、現在担当しているジュニアの国籍をパッと思い出しても、サウジアラビア、ドイツ、フランス、ブラジル、イギリス、中国、アメリカなど日本では考えられない環境です。

語学は大丈夫ですか?

メインは英語を使っています。耳がだいぶ慣れてきました。アドバイスをする時に、伝えたいニュアンスを英語に直すのが難しいです。日本語で考えて英語にしようとすると難しいので、休憩時間にアンヘルの指導を見て、言葉での伝え方を勉強しています。コーチ同士のコミュニケーションになるとスペイン語になることも多いので、まだまだ勉強が必要です。

スペインの指導方法には慣れましたか?

もともと日本でも勉強していってたので大丈夫です。細かくカリキュラムが決められていて、行うドリルもある程度決まっているのでやりやすいです。やりたい指導がある時は自由度も与えてくれますが、基本的には、練習のコンセプトがしっかりと決まっているので、その枠組の中で工夫を繰り返してます。

スペインの指導方法で日本と違うところはどんなところですか?

コントロール

まだこちらにきて働き始めて2週間ですが、一番印象深いのは、

『コントロール』というアドバイスの概念の違い

です。日本だと、『コントロール』というと、『ボールの安定』という意味合いが強く、ミスをしてはいけないという意味につながります。こちらでは、
・自分の動き
・ボールのスピード
・ボールの回転量

など、『制御する』という意味合いが強いです。何も考えずに暴走するのではなく、いつも気をつけて『制御する』というアドバイスです。同じ言葉を使っていても意味合いが違うことは発見でした。

足の決め方

それから、足の置き場所を丁寧に指導します。ボールの後ろにしっかりと軸足を決めるという基本を大切にしています。それがズレると良いボールが飛びません。基本ができていて強い選手ほど、この足を決める動作をひたすら反復練習しています。

打ち方の指導は日本の方が細かい

打ち方に関しては、それほど細かく指導しないこともわかりました。コントロールを求めたり、足を決めることに関しては口酸っぱく言いますが、スイングや身体の使い方に関しては細かいアドバイスはありません。

スペインのテニス環境で発見はありましたか?

試合が強い

稲本コーチもよくブログに書いていることですが、練習は下手でも試合になるとみんな強いです。スペインドリルは下手で、動きも遅い、少し手を抜いている印象がある子でも、試合になるとちゃんとやります。動きも明らかに速くなる。(笑)下手な子でも展開力がある。なんなんでしょうね。指導しているとかそういう風ではなく、これは元から備わっているもののようです。クレーコートというラリーが続く環境が育むものなのでしょうか。そして、スイングはそれほど速くないのに、ボールはやっぱり重いです。不思議です。

練習よりも試合が強い過去記事

 

平等ではない

年齢で分けずに、すぐに練習環境のレベルを上げ下げします。良い意味で平等ではありません。能力が高ければ上のレベルにすぐ上がるし、ダメなら下がります。

良い意味で不平等なクラス分けに関する過去記事


(クレーコート13面・ハードコート12面・人工芝2面の他、ジム・プール・フィシオ・レストラン・宿泊施設となんでも揃うビッグクラブ)

練習時間

そしてとにかくボールを打つ時間が長い。トレーニングも2時間あります。鬼ごっこに近い遊びから、ストレッチ、アジリティまで一通りそこで行うので、オンコートではテニスだけに集中できるのも良いです。そして、毎週末試合ができるのも素晴らしいです。3セットを1日2試合。2日で4試合。小さい頃から国境を越えての試合に慣れています。日本にいると、特別なことのように感じますが、こちらのジュニアにはそれが普通のことなんです。

スペインの練習量に関する過去記事

行く前に想像していたこととの違いはどんなことですか?

色々と想像して来ましたが、先入観が強すぎたと感じます。ジュニア達は、日本もこちらもそんなに変わりません。シャイな子はシャイだし。先入観ってよくないですね。

日本のジュニアとの違いはどんなところですか?

こちらのジュニアはとにかく意見を言ってきます。(笑)これは日本ではないことです。すぐに主張してきます。日本の環境に慣れている僕からすると、『我慢しろよ』って思ってしまいます。(苦笑)こちらの子はあまり我慢ができないという印象です。

私の感想

たった2週間ですが、良い経験をして、良い発見をたくさんしています。私自身が10年前にやりたかったけど直前でポシャった経験を、次世代のコーチがやっていることは、とても嬉しく、羨ましいです。現地のアンヘルコーチの評価もとてもよく、9月以降も続けられるように引き続き頑張って欲しいです。

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